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かわいい象さんの像

速記録ができあがると次は納品ですが、大昔は手書き原稿、四半世紀前はフロッピーと打ち出し原稿を封筒に入れて、電車に乗ってお届けに行っていました。東京の出版社に大急ぎで送る時などは、大阪まで行って、航空会社の事務所で受け付けして、朝イチで羽田空港に編集の方に取りにきてもらったりしましたが、それが宅急便になり、メール便になり、今ではパソコンメールで一瞬のうちにご依頼先にお届けできて、本当に便利な世の中になりましたが、お届け前後に映画を見たりデパートに寄ったり、ちょっと寄り道するのも結構楽しみだったので、これができなくなったのはかなり残念なことです。

  でも先日、久しぶりに京都まで打ち出し原稿を納品に行って、帰りはやっぱりちょっと寄り道、西本願寺さんにお参りして、その界隈をうろうろしてきました。

  阿弥陀堂内陣は現在修復中で、阿弥陀如来様もお留守で残念だったのですが、御影堂など拝観して、木の階段に座って靴を履こうとしたそのとき、年寄りのガードマンがババッと走り寄って、お隣の外人さんのカップルを指さして「シューズ!」と怒鳴りつけました。一番下の段に木のすのこみたいなものがおいてあり、そこは土足厳禁らしいのですが、そのすのこに靴をおいて履こうとしていたので、やってきて注意したらしいのです。でもその場にいた全員がすのこの上に靴をおいて履いていたので、外人さんじゃなくて日本人に「そこで靴はいたらいかん」と怒ったらよかったのにと思いました。

  外国で怒られたら、いつまでたっても憶えているんだよなあと、ちょっともやもやした気分で外に出ると、堀川通りの向こうに立派な総門が見えて、その右側奥に、なんだか不思議な建物が建っています。さっそく行ってみると、赤レンガ造りのなんともいえない意匠の建物がどどんと建っていました。案内板によると、明治45年、日本の近代建築を代表する建築家伊東忠太によって設計された「伝道院」という西本願寺関係の建物だそうです。

  西洋建築様式にお寺のような破風をあしらったり、イスラム風の塔がついていたり、これはけっこう好きかもとまわりをぐるりとまわると、これまた不思議な石像が並んでいました。みんななんともいえず不気味でかわいいのですが、中でも、「どーもスイマセン!」って感じの象さんを見ると、もやもや気分もふっとんでしまい、さっそく写真に撮って、ケータイの待ち受けにしています。